戦後の東京で日本フィルハーモニー交響楽団を創立し、それまでの伝統にとらわれない活動で音楽界に新風を巻き起こした、故・渡邉暁雄。その多大な業績を積極的な形で今後に引き継ぎ、日本の音楽界の発展に寄与することを願い作られたのが「公益信託渡邉暁雄音楽基金」です。同団体が選定する、次代を担う優秀な指揮者、及びオーケストラ界に貢献した関係者へ贈られる「渡邉暁雄音楽基金 音楽賞」に、この度指揮者の鈴木優人と原田慶太楼が選ばれました。鈴木は指揮者だけでなく、鍵盤奏者、作曲家、演出家、音楽祭のプロデュースなどでも活躍の場を広げ、その多彩性と音楽性を生かした指揮活動が評価されました。原田は演奏の並外れた熱気感と、コロナ禍での配信コンサートの実施という、高い音楽性と指揮者としての旺盛な発信力が評価されました。
◆音楽賞 鈴木優人(指揮者)

【略歴】
東京藝術大学及び同大学院修了。オランダ・ハーグ王立音楽院修了。令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣新人賞、第18回齋藤秀雄メモリアル基金賞、第18回ホテルオークラ音楽賞受賞。バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)首席指揮者、読売日本交響楽団指揮者/クリエイティヴ・パートナー、アンサンブル・ジェネシス音楽監督。指揮者としてNHK交響楽団、読売日本交響楽団等と共演するほか、鈴木優人プロデュース・BCJオペラシリーズとして「ポッペアの戴冠」(2017)、「リナルド」(2020)を制作、上演。NHK-FM「古楽の楽しみ」レギュラー出演。調布国際音楽祭エグゼクティブ・プロデューサー。九州大学客員教授。
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「授賞理由」
鈴木優人氏は、指揮者として飛躍的な活躍を行うのみならず、鍵盤奏者、作曲家、演出家、音楽祭のプロデュースなどでもその才能を活かし、幅広い音楽分野で活動によって日本の楽団に新たな風を吹き込み続けている。演奏力はもとより、プログラムの独自性と企画力でも楽員と聴衆に強くアピールし、その多彩性と音楽性を活かした指揮活動で、今を生きるオーケストラと音楽家の在り方に広がりと深みを加えている。その多彩な活動は渡邉曉雄音楽賞を授賞するにふさわしく、今後もますます活躍の場を広げることが期待される指揮者である。
◆音楽賞 原田慶太楼(指揮者)

【略歴】
日米を中心に目覚しい活躍を続けている俊英。シンシナティ響、リッチモンド響のアソシエイト・コンダクターを経て、2020年からサヴァンナ・フィルハーモニックの音楽&芸術監督。オペラでもアリゾナやノースカロライナ、シンシナティ、ブルガリア国立歌劇場等で活躍。2010年タングルウッド音楽祭で小澤征爾フェロー賞、2013年B.ワルター指揮者プレビュー賞、2014・15・16・20・21年米国ショルティ財団キャリア支援賞受賞。2009年キャッソルトン・フェスティバルにL.マゼールの招待を受け参加。2011年F.ルイジの招聘でPMFに参加、21年も再招聘される。2021年4月東京交響楽団正指揮者に就任。
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「授賞理由」
原田慶太楼氏はアメリカを拠点に指揮活動を開始。近年は国内各地のオーケストラに次々と客演を重ねて若々しく活気のある躍動的な演奏を作りだし、楽員や聴衆から絶賛を浴びている。その演奏の並外れた熱気感はとりわけ若い聴衆を惹きつける力を備えており、若手指揮者の中でも特に際立った存在と言えるだろう。コロナ禍においても配信コンサート等にも積極的に取り組むなど指揮者として独自の活動を続け、指揮者として音楽界の「今」を切り拓く活動も精力的に行っている。高い音楽性に加え、指揮者としての旺盛な発信力は、まさに渡邉曉雄音楽賞を授賞するにふさわしい高い成果を挙げているといえるだろう。