●このコンサートは終了しました。

　＜3月19日ほか　愛知・三井住友海上しらかわホールほか＞ピアニスト・藤田真央によるモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏会の第1回目が開催される。10代の頃から構想を温めてきたというこの全曲演奏会の開催は、藤田自身の思い入れが強く、またちょうど同じ年齢の頃、モーツァルトもピアノ・ソナタを作曲し始めていたところに自身を重ね合わせているようだ。
　「清らかな始まり」と題された初回に演奏されるのは全てハ長調の曲。ハ音（＝「ド」）から音階が始まるハ長調だけに「初回にぴったり！」ということで選ばれたのだとか。そんな各曲に通底するのはタイトルにもある”清らかさ”、そして透き通るような”明るさ”だ。ピアノと戯れるように演奏する藤田がどんな風に曲の特徴を引き出すのか、楽しみである。さらに、作品をただ順番に並べて演奏するのではなく、こうしたコンセプチュアルな構成を打ち出している部分にも注目したい。全5回に渡るシリーズを展開していくなかで演奏家としての成熟、さらなる深化が期待されよう。その初回に立ち会い、現在（いま）の演奏を聴くことは振り返ってみた時に、貴重な機会になるはずだ。
　チャイコフスキー国際コンクールでの2位受賞からわずか2年。その後も休むことなく世界を飛び回り、演奏活動を続けている藤田。この演奏会を通じてまだ私たちの知らない”MAO”に出会えるかも知れない。（石川、東京の公演あり）

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