ららら♪の「Vol.6 リポート」

 令和元年10月26日(土)、東京・サントリーホールにて「ららら♪クラシックコンサートVol.6ミュージカル特集~舞台と映画のラララな世界~」が昼夜2回の公演で開催されました(共にチケットは完売)。ミュージカル界を代表する実力派スターたちと東京フィルハーモニー交響楽団(指揮・円光寺雅彦)との共演で古今東西の名曲、アンコールも含め19曲が披露されました。その昼公演を曲の紹介と合わせてレポートします。

ららら♪クラシックコンサートVol.6
2019年10月26日(土)14:30開演 サントリーホール 大ホール

 今回のコンサートの選曲は、舞台と映画のミュージカルシーンから4つ観点でセレクトされています。まずはブロードウェイ。ルーツはオペラにあると言われるミュージカルの最初の作品は、第1次世界大戦後のアメリカで誕生しています。その黄金期と言われる1950年代の作品にスポット。2つめは世界を驚愕させたロンドンのウエストエンド・ミュージカルから。1980年代、ロングラン記録を塗り替えた『キャッツ』をはじめ、数々の大ヒットの名作が産まれています。3つめはミュージカルを身近な存在にしたディズニー作品から。そして最近の話題の舞台や映画の作品からも紹介。フルオーケストラの多彩な演奏と豪華キャストの豊かな表現を高橋克典さん・金子奈緒さんが楽しく進行し、“ららら♪”ならではの充実したステージとなりました。

 オープニングはウエストエンド・ミュージカル『オペラ座の怪人』から、オーケストラの演奏「Overture」に続き、「マスカレード」を別所哲也さん、新妻聖子さん、海宝直人さん、咲妃みゆさんの4人が登場し華やかにスタート。

 司会の高橋さんが、昨年5月ウエストエンドで舞台デビューを果たした海宝さんにブロードウェイとの違いについて尋ねると「ブロードウェイはショー的な要素が強いのに対して、イギリスは演劇的な要素に特徴がある感じです。キャッツがセンセーショナルを起こす以前は、イギリス人が歌って踊るなんて…と否定的でしたが、ロングラン記録を塗り替え、ロンドンで名作が次々と誕生しました。今は垣根がなくなり、世界中でミュージカルは愛されています」と紹介。そして海宝さんはイエスキリスト(ジーザス)最後の7日間を描いた『ジーザス・クライスト・スーパースター』より「Gethsemane」を熱唱してくれました。

 続いて『ミス・サイゴン』。プッチーニのオペラ「蝶々夫人」をベトナム戦争時に置き換え、ベトナム人少女キムと、アメリカ海兵クリスの愛と悲劇を描いたミュージカルより2曲、「世界が終わる夜のように」を海宝さんと新妻さん、「今も信じているわ」を新妻さんと咲妃さんがデュエット。新妻さんは2003年5000倍のオーディションを突破した初舞台から、今やミュージカル界屈指の歌姫として活躍中。その力強さと美しさを併せ持った歌声と持ち前の表現力で可憐なキムを演じてくれました。

 次に2014年に巨匠・クリント・イーストウッドにより映画化された人気バンド・フォーシーズンズの伝記的物語『ジャージー・ボーイズ』より「君の瞳に恋してる」を海宝さん。

 2006年に映画化された黒人女性コーラスグループの成功と挫折、友情を描いた大ヒット作『ドリームガールズ』よりタイトルソングを、マリーシャ・ウォーレスさん、咲妃さん、サラ・オレインさん。続いて「And I am telling you I’m not going」をマリーシャさん。会場全体の空気を振動させるような圧巻の声量で、エネルギッシュな舞台でした。「東京大好き」と日本語で挨拶、「この場に来れてとても嬉しいです。日本で歌うことは私の夢でした。」と語るマリーシャさんに会場も拍手喝采で応えます。

 前半最後はブロードウェイ黄金期の懐かしの名曲から。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」をニューヨークに移し、対立するグループの争いで悲劇を迎える若き恋人たちを描いた『ウエストサイド物語』より「Somewhere」を別所さんと咲妃さんがデュエットで。
 「ウエストサイド物語は映画版を見て子供ながら衝撃を受け、魅了された作品です。その頃はまさか自分が俳優になるとは思いもしませんでした。音楽・ダンス・表現を知れば知るほど素晴らしい作品だと思います」と別所さん。「1968年にウエストサイド物語を日本で最初に初演したのは宝塚だった事を誇りに思っています」と咲妃さん(元宝塚雪組トップ娘役)は語ってくれました。

 続いて、不屈の名作『サウンド・オブ・ミュージック』より「エーデルワイス」を別所さん。
 ロンドンの貧しい花売り娘・イライザが、ヒギンズ教授と出会い、淑女へと成長するシンデレラストーリー『マイ・フェア・レディ』より「I could have danced all night」を今回急遽出演となったサラさんが披露してくれました。オーストラリア出身のサラさんは「ジュリー・アンドリュース(サウンド・オブ・ミュージックは映画版で、マイ・フェア・レディは舞台版で主演)の歌声は、言葉を憶える前の幼児の頃からTV等を通して、生活の一部として自然に吸収していました」と振り返り、ステージでは、指揮台の端に腰かけ、夢見るような表情で空を見上げる姿が印象的でした。

 後半のスタートはディズニーの名曲から。原案は「千夜一夜物語のアラジンと魔法のランプ」。貧しくも純粋な心を持つ青年アラジンが空飛ぶ絨毯に乗って、ジャスミン王女を王宮から連れ出すシーンで歌われる『アラジン』より「A Whole New World」を海宝さんとマリーシャさんがデュエットで。

 こうもり傘で空から現れる魔法使いの『メリー・ポピンズ』より、魔法で部屋を片付けながら歌う「お砂糖ひとさじで」を咲妃さんがユーモラスな表現で演じると会場から手拍子が沸き起こりました。

 シェイクスピア「ハムレット」のストーリーをもとに、アフリカの動物王国プライドランドで王子として産まれたシンバの成長を描く『ライオンキング』より「Can you feel the love tonight」をマリーシャさんとデュエットした別所さんは「本当に光栄です。ブロードウェイで大活躍されているマリーシャさんと歌えて…夢がかないました」と満面の笑顔でした。

 そして「オズの魔法使い」の裏話として構成され、よい魔女と悪い魔女の若き日の友情を描いた『ウィキッド』(現在映画化進行中)より、魔女・エルファバが箒に魔法をかけ空中に舞い上がるドラマティックなシーンで歌われる「自由を求めて/Defying Gravity」を咲妃さんが披露。「いかなる困難にも立ち向かうエルファバ。この曲に私も励まされてきました」とエピソードを語ってくれました。
映画『ボディガード』はミュージカル版がこの秋来日公演を迎え、来年日本人キャスト版の上演が予定されています。全米シングルチャート14週連続1位の記録を樹立、グラミー賞をも受賞した主題歌「I will always love you」をマリーシャさんが迫力ある存在感で表現。

19世紀の興行師・P・T・バーナムの挫折と成功を描いたミュージカル映画『ザ・グレイテスト・ショーマン』より「Never Enough」を淡いバイオレットのドレスに衣装を替えたサラさんが熱唱してくれました。

 フィナーレは2012年公開された映画が大ヒットし、舞台も世界各国で上演されている『レ・ミゼラブル』。主人公のジャン・バルジャンが、娘の幸せのために「自分の命よりもこの若い男を救ってほしい」との祈りを込めた名曲「彼を帰して」を自身も演じたことのある別所さんが情感たっぷりに歌い上げます。そしてアンコールは、出演者全員により『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」がダイナミックに歌われました。

 次回の「ららら♪クラシックコンサート」第7弾は、ベートーヴェンの生誕250周年を記念して「ベートーヴェン特集」です。来年1月19日(土)、午後2時より渋谷のBunkamuraオーチャードホールで、ピアノ、チェロ、ヴァイオリン、室内楽でベートーヴェンの魅力を紹介します。

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